2016年07月15日

【レビュー】poivre - Juked out 4(Free DL)



過度なエディットは施さず、原曲のノリをそのまま生かしリズムだけをジュークに変換するスタイルをジュークドアウト(Juked Out)といいます。もともとは治安上の問題からシカゴのクラブでジュークが禁止されていた時代に、Gant-Manらがジュークをラジオでプレイしてもらうために思いついた手法です。そしたら不思議、クラブで掛からないジュークがラジオで掛かるようになったのです。2000年代初頭シカゴのジューク滅亡の危機は、こうして乗り切られたんですね。

 さてさて、長崎・佐世保を拠点に活動するトラックメーカー、Poivre(ポワブル)は、そんなジュークドアウトが大得意な日本人のひとり。これまでジュークドアウトシリーズで3枚をリリース(他のシングルでも多用してます)。毎回クラブヒットからヒップホップ、ポップスなどを気ままにセレクトしていますが、軽妙な切り口でもジュークに消化されていて、フロアでもしっかり映えます。これまでの彼の作品だと、VOLO「Don't Like Me」のジュークドアウトがめちゃくちゃ良くできててスーパー最高でした(https://soundcloud.com/poivre0529/dont-like-me-poivre-juked-out)。

 今回はChance The Rapper、Y2Funxでも活躍するKick a Show、そして谷村新司などをピックアップし、バリエーション豊富。どれも原曲からして素晴らしいのですが、そのノリを壊さず仕上がっていてリスニングとしても良質です。個人的にはなかでもHadson Mohawke「Scud Books」のリミックスが出色で、悪そうなホーンとトラップのいかにもな原曲をスピードアップすると、軽いタッチに変貌してレイヴテクノみたいな質感に。シンセのシーケンスがまるでオービタルのチャイムみたいに聞こえて、おもしろくかつエモい。ジャンプアップぽく聞こえる原曲のリズムの途中からさらにアーメンブレイクが入るのですが、それがまたレイヴ感をさらにアップ。エディットで追加されたシンバルがアーメンとめちゃくちゃマッチしてて、相当イケてます。たったこれだけなのにセンス爆発。そして、聞こえはしっかりジュークなのがマジすごいな〜。

 一聴して変とか実験的なサウンド、「なんだこれ!?感」もジュークのひとつの側面ですが、「踊れる・楽しい」という音楽の基本的な機能が僕にはとても大切に思えます。音楽に詳しくない人が彼の曲を聴いたら、「良い曲だね〜」って言って、リミックス、もっと言えばジュークであることすら気付かないまま、最後まで聴き終わるかもしれない。それぐらいスムーズに仕上げている。僕は、ジュークを「変哲のないポップミュージック」にすることもまた、難しいこと・実験的なことじゃないのかなと思うのです。「ジュークのヤバい」は一義的じゃない。いっぱいあるのです。ま、こんなこと音楽好きにしたら当たり前でしょうが。 (D.J.APRIL)

posted by BootyMusicJapan at 20:42 | TrackBack(0) | リリース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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