2014年03月19日

CRZKNY ロング・インタビュー 前編

CRZ2014_430.jpg

1stアルバム『Absolute Shitlife』以降続く怒濤のリリースで、いまや押しも押されぬジュークシーンのトッププロデューサーとなったCRZKNY。今年2月にURの関連レーベルMIXWORKSからエレクトロ作品『Restst EP』をリリース。来月には2枚目となるジューク・アルバム『DIRTYING』をリリース予定とその勢いは留まることを知らない。そんな彼に曲作りのこと、2ndアルバムの制作秘話やライブについてなどを聞いた。

 (Interview by 徳永 刻 aka kizaam)

 

ーケニーさん、今日はよろしくお願いします。まずは音楽的ルーツについて教えて下さい。

95年か96年くらい、高校生の時に曲作りをみたいなことを齧るようになって。テクノがちょうど流行っていたから、「あっ、テクノ作らなきゃ」って思って、バイトして機材買ってって感じですね。その頃は仲間内でお互いの曲を聴き合うくらいで音源の発表やライブは全然してませでしたね。

2000年代に入ってからはノイズを作ったりしてました。サンレコに載っていたMerzbowか誰かのインタビューで「Macでノイズは作れる」発言を読んだのがきっかけですね。「やったー!楽しそう。ノイズ作らなきゃ!」と思って(笑)

その頃聴いていたのはノイズやエレクトロニカです。MEGO系のグリッヂな感じのきついヤツとか。この頃も曲の発表はしてなくて、友達2、3人に音源を配るくらいでしたね。ライブは何本かしたんですけど、ノイズなんで軒並み不評で。「ピギーー!!」とかいってて、まずアンプの心配をされるというか(笑)

 

ーアンプの心配されるのは昔から変わらないんですね(笑)

あっ、変わってないですね(笑)

で、それも過ぎて、Prefuse 73とかIDM的なヒップホップのようなものがいいなーと思うようになって。元々ちょこちょこ音を切ったりするのが好きだったんで、切り貼りして曲作ってたのが20045年くらいです。

そっから急に格闘技やりたいなと思って。たまたま道場が近くにあったので、全く音楽はやめて何年か格闘技やってました。格闘技やめた後はまた音楽を少しづつ作り始めて、エディットやマッシュアップ的なものを趣味程度に作ってましたね。で、2011年くらいにジュークを知ったんです。

 

ージュークを知ったきっかけを教えて下さい。

Booty Music Japanに殿(D.J.Fulltono)が書いていた記事で知りました。なんか変な音楽って感じでしたね。たまたまその時に、横川シネマって地元のすげーいい感じの映画館があって、Ai7nさんて漫画家さんが「横川グラインドハウス」ってboidの樋口さんとかTrash Up!!!を招聘してホラー映画の上映会やるって企画があって、そこで俺がBGM担当したんです。俺がホラー映画のサントラを結構持っていたから。

その上映会のためにサントラを聞き直していたら「あっ、これいけるかも」ってなって、「ヘルレイザー」って映画の曲をジュークにしたのが最初ですね。それが2011年の終わりくらい。出来た曲を聞き返したら、これ結構いけるかもってなって、そっからはジュークを延々と作る人生ですね。楽しくて仕方ないって感じで(笑)

 

ケニーさんにとってのジュークの魅力とは?

今はジュークをだいぶ作ってきたから、曲の構造もなんとなく理解できるんですけど、最初に聴いたときは曲の構造とか、なんでこのリズムなのかとかよく分からなかったですね。低音の出る環境で聴いてなかったから、なんかチャカチャカしてる奇妙で不思議な音楽っていう印象でした(笑)「不思議系かー!」って(笑)

でも、何ヶ月か経ってから、なんか分からないけどすごくしっくりくるって感覚になってきました。

俺は曲を作る時って、ほとんど頭で考えずに作るんですよ。ジュークを作り始めた時も、曲の構造とかリズムとか理解しないまま、好き勝手にやっていいんだって勘違いして作ってて(笑)

普通のかっこいいジュークとはちょっと違うんですけど、すごく作りやすかったんですよね。一番、直結してるというか。それまでは作曲する時に、時間を置いて聴き返したりしながら作ってて、完成するまでに早くても2、3日とか掛かってたんです。ジュークの場合は、曲を完成させるのは1日でオッケー、下手したら30分でもオッケーな気がするっていうのが、スゴく直結してる感じがしたんです。作ってて気持ちいいし、ジュークいいなーって思うようになって。

あと、ジュークは低音がスゴく出ているってことを知ったも大きいですね。Broken Fingersとか聴いて「完全に頭おかしいわ」って思って。スゴい直結してるのと頭おかしいわっていうのでジュークのとりこですね。

俺の曲の作り方は導入部分が間違ってますからね(笑) ベースがスゴい出てるとかよく言われるし、自分でもそうなのかなと思うんですけど、元々は勘違いから始まってるんですよ。フットワークバトル動画とか観ると、低音がめっちゃ割れてるじゃないですか?スゴい割れてるからスゴいベースが出てるんだと思って、なんとかこういう感じに近づけようと思って、ベースを上げて作ってたんですよ。で、後からバトルで掛かってた曲を聴き返すと、「あれ!?そんなにベースが出てないな?」ってことがあって(笑) これは現場で低音をイコライジングしてたり、撮影機材の関係でそういうふうに聴こえるんだなーって。「あー、俺間違ってた!」ってジューク作り出して1年くらいして気づいて(笑) でも「ま、いいかー。楽しいし』って思って、そのまま間違いを修正せずに作ってますね。間違えたままでもオッケーって言われるジャンルってあんまないなーって。ネタも何でもあり感がすごくありますし。

1stアルバム『Absolute Shitlife』

 

ーどんな機材で曲作りしてるんですか?

Ableton Liveってソフトで、基本は音声ファイルを切り貼りして作ってます。MIDIとかちょっと理解できないんで(笑) かれこれ十数年Ableton Liveを使ってるんですけど、去年の夏くらいに選択部分を無音にする機能や簡単にコピー&ペーストできる機能を初めて知ったんですよ。せっかくだから、そういう機能やMIDIを使おうと一瞬思ったんですけど、結局覚えるのが面倒くさくって、「切り貼りするほうがはえーな」ってなって、ホントに初歩的な機能しか使わずに作ってます。後は今までに無駄に買いためていたサンプルを使いながらって感じですね。

 

ーケニーさんの曲は凝った展開のものが多いから切り貼りだけで作っているというのは驚きですね。

切り貼りで作ってるから、並べた音声ファイルを間違って消しちゃったりよくするんですよね。「ここハイハット欲しいな」ってところでも、勢いで間違って消してしまったりとか。そのままリリースして、間違ったところをいいと言われて、「あっ、これ正解だったんだ」ってなることがよくあります。ホントに曲を作る時はほとんど頭で考えないですね。

 

ー面白い作り方ですね

ホントに作業は賽の河原みたいな感じですよ(笑) 音声ファイルを積んではアウトプットして、「また新しい曲かー」みたいな。


ー1曲作るのにどれくらいの時間を掛けてるんですか?例えば2ndアルバム『DIRTYINGの収録曲は?

DIRTYING』の収録曲のほとんどは賞味一日くらいでガーッと作りました。何日かに分けて作った曲とか、ちょっと空いた時間に作りためていたループとかはいくつかありましたけど。最初のバージョンはコンプを掛けてなかったので、アルバムを正式に出すってなった時に、とりあえずコンプは掛けとこうってなって、結果的にコンプで音圧を上げちゃってより音がデカくなったという(笑)

14曲目に「OZ」って曲が入ってるんですけど、この曲はある撮影クルーから曲作りをする様子を撮影させて欲しいと依頼された時に作ったものです。これは13分で出来ました。1曲作るのに長くても1時間、短いと15分くらいですね。

曲作る時はだいたいリズムから最初に組むんですよね。リズムが出来たら、このサンプルいけるかなー?って聴きもしないで、ある一定の部分をそのループにはめ込んでいくんです。合わなかったら、それ以上追求するのをやめて、別のサンプルにを当てはめていきます。で、「合った!」ってなったら、それでそのままいっちゃう感じです。時々、消したつもりのサンプルがシーケンス上に残ってて、「あっ!ここでこのブレイク面白いかも」みたいな感じでそのまま使ったりしますね(笑)

 

ーケニーさんの曲は1曲の中に3曲分くらいのアイデアが盛り込まれていたりしますけど、そういう作り方だからなんですね。

ほんとは1つのサンプルでやりたいなって気持ちはあるんですけど、迷ったりする時間がもったいないからポンポンポンポン当てはめていくんですよ。消すつもりが偶然残ってたサンプルとか最終的に使ったりするから、結果的に「あっ、この展開の多さ楽しい!」みたいな感じで。あと自分が多分せっかちなんで、1曲の中で同じサンプルがずっと続いていくのは飽きちゃうんですよね。1つのネタで引っ張れるて言えば引っ張れるんだろうけど、聴いてても作ってても楽しくねえや思ってて。

 

ー例えばアルバムの6曲目「D.J.Fulltone」って曲はすごく展開多いですよね。

そうですね。あの曲はソフトシンセみたいなヤツとか303のエミュレーターみたいなやつとかを使ってて、「この音に合うように進行していったら面白いかも?」って感じで作りました。「ここでブレイクビーツだ」とか「ここでブレイクだ」とかやってたら、「あっ、どんどん変形するみたいな感じでカッケー!」ってなって。なんか超合金って感じするじゃないですか?(笑)

 

ーちなみにこの「D.J.Fulltone」って曲名の由来は?

殿とは同い年なんですけど、一番最初にジュークを知るきっかけを作ってくれた人だし、実際会っても殿って最高の人じゃないですか!?ほんとスミマセンって感じですけど曲名に使わせてもらいました。俺が女子だったらよかったんですけど、男子からのラブレターみたいだなーっと(笑)

こういうテクノっぽい感じで進行して行く曲調が「昔アシッドとかよく聴いてたなー」ってことを思い出させてくれたことと、殿のプレイのハメ込むミニマル・テクノみたいなイメージとが、自分の頭の中だけでシンクロして「あっD.J.Fulltone!」って感じで曲名は決まりました(笑) 殿の作る曲とは全然違う感じの曲ですけど。

 

ーアルバムではフットワーク・ジャングルにも挑戦してますね。

「facebook off」って曲ですね。今回のアルバム制作前、短いループとか作っていた頃に303の音とか使ってたら「なんかオールドスクールな感じするよねー」とか思ってたんですよね。そんな時に、最近マネージメントを手伝ってくれている大阪のジャングルMCのトイさん(Wrongtoy)がオールドスクールなジャングルが好きって言ってるのを聴いて、それまではアーメン的な感じの昔のブレイクビーツって使ってなかったんですけど、ちょっと使ってみようかなと思ったんです。無駄に溜め込んでいたサンプルからブレイクビーツを引っぱり出して使ってみたら「すげー楽しい!昔みたいだけどなんかいいなー!」ってなって。

 

ーヨーロッパ産のフットワーク・ジャングルとは全く違う感じになってるのが面白いなと思いました。

俺はUKのほうでアーメン使いのジュークが流行ってるのをあまり知らなかったんですよね。ブレイクビーツを使うきっかけも全然違いましたし、結果的に違うものになってますね。俺の場合はトイさん経由でブレイクビーツの再評価、オールドスクール再評価って感じだったんで。まー被んなくて良かったって感じです(笑)

ていうかさっきから俺が話してるのって、明確な目的もないままに作って、結果的に助かったって話ばかりですね(笑)

 スゴく長い時間掛けてプロダクションやってる人達って、どちらかというとジュークのフォーマットのリコンストラクトというか再構築というか考えられてる感じじゃないですか。俺がジュークの一番カッコいいと思うポイントは、ダサくないところなんですよね。ノリでそのまま作ったって感じというか。そういう「考えなくていいんだ」っていうのを自分の中で盾にして曲を作ってますね(笑) 

まー、それでかっこ悪かったらかっこ悪いって言われますし、カッコよかったらカッコいいっていわれますし、変だったら変だってことで喜んでもらえたりするから、そういう嘘がない感じがいいなとおもってます。まーあんま考えてないんですよ(笑)

 

後編につづく

posted by BootyMusicJapan at 20:14 | TrackBack(0) | Interviews | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/391967061

この記事へのトラックバック